kuon
趣味:読書、天体観測、SM(もちろん……Mのほうです)。
特技:暗算、口でご奉仕すること、一晩に何度でもイけること。
好きな食べ物:焼き肉、寿司、ご主人様の精液。
最近ハマっているコト:ペットショップ巡り、バイブを入れたまま外出すること。
将来の夢:卒業したらご主人様の家に肉便器として床に転がされていたい。
before
〜調教前の久遠〜
進学した高校には、一人暮らしをして高校へ通う私を珍しがるクラスメイトもいたが、私の地元では、一人暮らしをして高校に通うということは、そう珍しいことではない。これは、地元に高校が極端に少ないからである。特に私のように……成績のよい生徒ならなおさらだ。親も喜んで、私を東京に送り出した。
選んだ高校が良家や金持ちの子女を集めていることで名高い私立のお嬢様学校であったことも、両親の気に入ったようだ。両親は大牧場を経営しており地元ではそれなりに名が通っている。それが、中央の金持ち基準にも十分見合っていたのではと錯覚したのだろう。私は単純に、私の成績が飛び抜けて優秀だったから合格できたのだろうと考えている。
高校進学のため北海道から一人東京のワンルームマンションに引っ越してきた私が、がらんとしたなにもない部屋にまず設置したのは、新品の高性能ノートパソコンとネット回線だった。
実家にはデスクトップが一台あるだけで、しかもほとんどひとつ年下の妹が占領していたから、私は長時間パソコンに接する機会がなかった。
これで、堂々とネットを……アダルトサイトを見て回れる!
正直、東京の高校を受験した理由の大半はこれであったといってもいい。一人暮らしを出来ること、完全に自分自身の異常とも言える背徳の嗜好に没頭できることが、私には必要だった。
だいたい、成績優秀な私を「バカ」呼ばわりできるのは妹だけだ。確かに、妹は私よりも頭がいい。それは認める。さらに、非社交的な私をバカに出来るほど明るく社交的で、誰からも好かれる。それも認める。
私みたいにひねくれていないし、ヘンタイでもないし、ワガママでもない。私のように回りくどくグチグチしておらず、ハッキリしている。この私の妹とは思えないくらいいい子だ。認めましょう。
だからといって、私のプライバシーに立ち入る権利はないはずなのに、あの子はどうしてああなのかなぁ?
両親や妹がいない時を狙って、私はネットでアダルトサイトを見ていた。
妹は、ことパソコンに関してはなぜか知識膨大で「あたし、大学生になったら世界的なスーパーハッカーになるのよ」なんてばかげた冗談が冗談に聞こえない。
そんな妹だから私は気をつけて、アダルトサイトを回った履歴を全部消していた。それなのになぜか妹には全部ばれて、
「証拠隠滅を計ろうとするような後ろめたいサイトを閲覧するなんてお姉ちゃんどういう事よ? だいたいお姉ちゃんは世間知らずのくせに、オッパイばっかり大きく育っちゃってネギ背負った鴨なんだから、こういう世界には足を踏み入れない方が身のためよ! バカみたいなオッパイしてるせいで絶対騙されるんだから」
なんて説教されたのだからたまらない。あとで聞いたら、一時保管ファイル? クッキー? なんだろうそれは。
だいたい、世間知らずというのは100歩譲って認めたとしても、オッパイは無関係でしょうに! 妹はあまりバストが大きくないから、ひがんでいるようだ。私にはわけが分からない。妹は私よりも出来がよく、あらゆる面で勝っていると思うのに、妹からしてみたらバストの大きさばかりが気になり、私に対するコンプレックスとなっているようだ。
去年か……一昨年だったか。
妹が気に入っていた男子から、私はラブレターをもらった。私はその男子に全く興味がなかったし、なんて事ないと思っていたから、普通に妹にも話した。妹はショックだったようだ。そしてなぜか、自分よりも姉の私のほうがバストが大きかったから男子は姉の方を選んだ、と脳内変換したらしい。どうしてそうなるのよー。
ともあれ、妹の監視下から逃れて自由にネットを閲覧できるようになった私は、手当たり次第に過激な広告や動画の踊るアダルトサイトを飛びまわった。悔しいが、妹からさんざん注意されていた、ネット閲覧の上での注意事項……ワンクリック詐欺や高額な架空支払い請求、会員登録詐欺などに関する知識が、アダルトサイトを回る上では役に立った。
幼い頃からぼんやりと胸に抱いていた私の――捕らわれのお姫様が縛り付けられいいように嬲られ陵辱されたり、辱めを受けたり……時々テレビでやっていた女囚モノの映画で、無実の罪で投獄された女主人公が看守達に必要のない身体検査をされたり、懲罰と称してはいやらしい事をされたりするような場面に興奮を覚える異常な性癖の源を、私はネットを回ることで再発見した。
私の求める世界が、そこにあったのだ。いや、あることは分かっていた。書店でちらちら、そういった類の雑誌やムックの表紙を眺めたりしていたのだから(勿論、購入なんて度胸はない。狭い町でそんなことをしたらあっという間に噂が広がってしまう)。
ようやく、手に届いた、と言うのが正解だ。
私は飽きるまでアダルトサイトを見て回り、グッズも購入した。そんなすごいモノじゃなく、ピンク色をした小さなローターだ。
それでも私にとっては大冒険だったし、届いたそれを宅急便で受け取るとき、簡素な包装を開けるとき、今ままで感じたこともないくらいに強い興奮を覚えた。
小さなそれが、私には自由の象徴に見えた。何かが変わるんだと思った。
実家にいたときは、二段ベッドの上で寝ている妹を気にして、オナニーなんてちっとも出来なかった。完全に一人きりになれ、万が一見つかってもごまかせる状況――私は、入浴の時に、こっそり自分の淫らな部分を弄っていた。
シャワーを全開にして、ざーざーと音を立てて、思わず漏れてしまう熱いため息をごまかしていた。身体中を泡だらけにして、丁寧に洗っているフリをしながら指を秘部の割れ目に滑り込ませる。
石けんの香りと、恥ずかしいくらいにいやらしく溢れてくる愛液の生臭が混じり合い、なんだか香ばしいようなエッチな匂いがしたものだったっけ――。
今から考えると稚拙なオナニーだったけど、私はそれでも一生懸命だった。
勿論、完全に満足することなんて出来なかった。だって、私の嗜好性はいわゆる「普通」とはずれていることに気づいていたから。
ぷってりと膨れて快楽を求める陰部を弄る行為での快感そのものより、家族の目を盗んで恥ずかしい、淫らな行為に浸っている、というスリリングな状況の方に特別な興奮を覚えていたような気がする。
一人きりの空間を手に入れた私の、ドキドキしながらの初ローター。
快感は知っていたつもりだったけど、ローターの振動による刺激はものすごくて、私はそれこそ猿のように夢中になった。
まだ見ぬ、私を嬲ってくれる人を想像し、その人に命令されているつもりで半裸になり、ああ、これ以上はダメですご主人様……なんて、小さな声で喘ぎながらローターでまだキスも知らない唇を、興奮で尖り固く凝った乳首を、脚の間の充血してひくつく敏感なところを、刺激するのだ。
ローターは、怖がって軽く当てると振動がダイレクトに敏感な部分の上面だけを強く激しく刺激するので、実はちょっと痛い。
思い切ってぐいと強く押しつけるのがいい。
そうするとローターが肉襞全体に埋もれ、振動が分散されるのだろうか、丁度イイ感じに全体を柔らかく、じんわりと刺激するのだ
下着の中に入れ、手で押さえて使っていたのだけれど、感じてくるとすごい量の愛液がだらだらと溢れてきて、ローターも手も、そして下着もねとねとに汚してしまう。
それに私はだんだん、ローターを使いつつもパンパンに張った両方の乳房を弄りたくてたまらなくなっていたので、思い切ってローターを下半身に固定する【バイブベルト】をネット通販で購入した。
ローターに比べると値は張ったけど、北海道の両親が一人暮らしの私を心配し「変なアルバイトをしないように、東京の友達と遊びに行けるように」と必要以上に仕送りしてくれていたから、困ることはなかった。
黒い革?製のパンティー型で、脇の部分はサイズ調整が出来るようになのか、黒くて太いゴム紐みたいになっている。はいてみると、少し食い込む。
表側はストンとしていて一見普通のビキニのようだが、裏返すと股間の部分とお尻の部分にポケットが付いている。股間の部分のポケットにローターを入れるのだろうなと察しが付いたが、私はそのとき、お尻の部分のポケットは一体何に使うのか、思いつかなかった。
リモコン式ローターのコントロール受信機を入れるポケットだというのを、実践の中で知ることになるのは、もうちょっと後だ。そしてその時はローターではなく、大きなバイブレーターが私の乱れた秘肉にねじ込まれることになるのだけれど……。
バイブベルトにローターを装着したことで両手の空いた私は、ローターの振動で震える濡れた秘部に感じ入りながら、夢中で興奮に膨らんだ乳房を弄った。
まだ見ぬ誰かにそうされているのを妄想しながら、飽きもせず快感を貪っていた。
痺れるような刺激に身をよじると、ローターがずれ、快感の中心部からはずれる。それがもどかしいような焦れったいような微妙な悦楽を醸し出す。
イキたいのに、なかなかイケないあのギリギリの陶酔感――。
私はこうやってご主人様に出会う前から、自分で自分の身体を基本的な部分で開発していたんだと思う。
こんな風に自分を弄んでいた私が、自分を徹底的に背徳の、肉欲の世界に連れて行ってくれる人を求めるようになったのは、ごく自然だったと思う。
ネットでご主人様を捜し始めていた私は、全く別の、全く意図していなかったところからご主人様を得る事になったのだ。